分断は避けられない─情報格差が経済格差より深刻になる未来

分断は避けられない─情報格差が経済格差より深刻になる未来
こんにちは!関達也です。
前回の記事では、「フェイクニュースはなぜ止まらないのか?」というテーマで、ネットの構造、SNSのアルゴリズム、そして人間の心理が絡み合って、嘘の情報がどんどん広がってしまう背景を掘り下げました。
また、世界各国で進むネット規制や、フェイクが生み出す未来の3つのシナリオ─ホワイト化、カオス化、そしてパラレル化についても考察しました。
「フェイクニュースはなぜ止まらない?拡散の仕組みとネット規制の未来」についてはこちらの記事に書きました。

その中で僕が特に気になったのは、「情報の世界が分裂している」ということなんです。
同じ国に住んでいるのに、見ている現実がまったく違う。テレビを信じる人、YouTubeを信じる人、それぞれが「自分の世界」に閉じこもっている。
これはもう、“分断”と言っていい状態ですよね。
今回のテーマは、その分断がこれからどう進んでいくのか? そして、なぜ「情報格差」が「経済格差」より深刻になり得るのか? という点を掘り下げていきます。
なぜ今、「分断」が避けられないのか?

僕らの社会は今、静かに、でも確実に「情報の分断」が進んでいます。
その大きな原因は、テクノロジーの進化と、アルゴリズムの最適化なんです。
① アルゴリズムが「好きな情報」だけを届ける時代
SNSやYouTubeは、「あなたが見たい情報だけ」を表示する仕組みになっています。
だから、一度“ワクチン反対”の動画を見たら、次から次へと関連動画が出てくる。Xでも、自分と同じ考えの人ばかりがタイムラインに並ぶようになります。
これ、めちゃくちゃ便利に見えるけど、実は「違う意見を見るチャンス」がどんどん減っていくんですよね。
② 「感情で分断される」ストーリー社会の特性
ルール社会なら「事実」で議論できた。でも、今はストーリー社会。大事なのは「共感できるかどうか」です。
だから、「私たちが傷つけられた!」「あの人たちは悪だ!」と感じると、すぐ敵と味方に分かれてしまう。感情が引き金になって、分断が深まるんです。
③ 分断は“選択”の結果でもある
面白いのは、誰かに強制されたわけじゃないんですよね。僕ら自身が、「こっちの情報の方がしっくりくる」「この人の言うことは信じられる」と思って、勝手に自分の現実を選んでいる。
つまり、分断って自然現象なんです。だからこそ、「避けられない」って話になるわけです。
なぜ「情報格差」が「経済格差」より深刻なのか?

格差というと、まず「お金のあるなし」が思い浮かぶと思います。
でも、これからの時代により怖いのは、「正しい情報にアクセスできるかどうか」という差なんです。
① 情報の格差は判断力の格差になる
たとえば、詐欺にあいやすい人って、「怪しい情報に弱い人」ですよね。逆に、リテラシーが高い人は、怪しい情報に飛びつかないし、騙されない。
つまり、情報格差って“判断力の差”なんです。
② お金はあとから取り戻せても、信頼は失ったら終わり
投資で失敗しても、また稼げばいい。でも、間違った情報を信じて行動すると、大事な人間関係を失ったり、社会から孤立したり、取り返しのつかないことになることもあるんです。
③ 情報格差は「思考停止」と「依存」を生む
「〇〇さんが言ってたから」「SNSで流れてきたから」「なんとなく信用できそうだから」
こんなふうに、“自分の頭で考えない人”が増えてくると、社会全体が簡単に操作されてしまいます。
情報の世界では、気づかないうちに「自分で選んでるつもりで、選ばされている」ことがたくさんある。これが一番怖いところなんです。
「どの世界に生きるか?」で人生が変わる時代

僕は以前より地方に住んだり移動したりしながら、ネットで仕事をしてきました。だから、リアルの地域社会と、ネット上のコミュニティを両方見てるんですよね。
その中で強く感じるのが、「現実が一つじゃなくなった」ということです。
① テレビしか見ない人と、SNS中心の人では世界が違う
テレビ中心の人は、「マスメディアが言うこと=正しい」と思ってる。 でも、SNS中心の人は、「テレビはもう信用できない」「リアルな声はSNSにある」と考える。
これは、もう話が通じないレベルなんです。
② 住む「情報空間」が、人生の軸になる
たとえば、地方で「テレビや新聞の情報しか見ない人」と、「YouTubeやVoicyで最新の知見を吸収してる人」がいたとしたら、仕事のやり方も、行動力も、圧倒的に差がつきます。
情報の取り方ひとつで、人生の方向がガラッと変わってしまう。これが、今の時代の新しい格差なんです。
③ 誰でも、自分の世界を選べる時代になった
今は地方に住んでいても、どんな情報にもアクセスできるし、どんな生き方もできる。逆に、東京に住んでいても、情報に無関心だと「狭い世界」で生きることになる。
つまりここが面白くて、「どこに住むか」より「どの情報空間に住むか?」が、これからの人生を決めるんです。
世界で進む情報分断のリアル

情報分断は日本だけで起きているわけではありません。むしろ、海外ではその深刻さがより顕著です。
① アメリカ:事実認識すら党派によって違う社会
アメリカでは、共和党支持者と民主党支持者の間で、見ているニュースメディアがまったく違います。
CNNを信じる人と、FOXニュースを信じる人では、同じ事件についても“まったく別の現実”を語るようになっているんです。
たとえば、2020年の大統領選では「不正があった」と信じた人が数千万人規模で存在し、実際に2021年にはトランプ支持者による連邦議会襲撃事件が起きました。これは「フェイクが現実を動かした」典型例であり、ストーリー社会が極限まで進んだ結果とも言えます。
② 韓国:ネット世論が社会を動かす強さ
韓国では、若者を中心にSNSの影響力が非常に強く、検察改革や不動産政策をめぐって政府に対する不満がXやYouTubeで一気に拡散されました。
2022年の大統領選でも、ネット上のバッシングが現実の投票行動に直結する例が多く見られました。
さらに、政府への抗議デモや集会がSNSから自然発生的に広がるなど、「ネット世論が現実政治を動かす力」を持つ社会になっています。
情報の出どころが多様化したことで、韓国でも複数の現実が共存する状態になっているんです。
情報格差社会では、「自分の頭で考える力」がすべてを決める

ここまで読んできて、「なんか怖いな…」と思った人もいるかもしれません。でも、怖がる必要はないんです。
大事なのは、「何を信じるか?」を人任せにしないこと。「どの情報が本当か?」を、自分の頭で判断すること。
僕らができるのは、情報を選ぶ力を磨くこと。そして、分断された社会の中でも、相手の立場を想像すること。
これからの時代、「経済格差」よりも「情報格差」があなたの未来を左右します。だからこそ、自分の情報の世界を、ちゃんと意識して選びましょう。
さて、次回はいよいよ最終回。情報が分断され、フェイクが飛び交うこの世界で、僕たち「ひとり起業家(マイクロプレナー®)」や「個人」はどう生きるべきか?
ネットを活用して生き抜くための戦略を、実践的な視点でお届けします。お楽しみに!
「ネット時代を生き抜く─ひとり起業家・マイクロプレナー®のための情報戦略」についてはこちらの記事に書きました。

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